ミックス・マスタリング

=ミックス・マスタリング=

はじめに

※ミックスとマスタリングの違いは、美容室で例えれば、カット・カラー・パーマなどがミックスダウンで、仕上げのスタイリングやヘアメイクがマスタリングだと思ってもらうと分かりやすいかもしれません。

※当スタジオでは基本的に下記のミックス、マスタリングを簡易的に(エンジニアおまかせで)行ったものを完成品としてお渡ししています(これでデモの状態としてしては十分なものだと自負しています)。ここまではスタジオ料金内に含まれていますが、市販にあたって本格的な作業が必要だという方に別料金としてミックス、及びマスタリングを単体で行っています。

【ミックス】または【トラックダウン(TD)】と呼ばれるもの。

曲の中のそれぞれの楽器の音量調整、音質調整を行います。 各楽器毎が別々のトラックで再生されているので、それぞれ単体を上げ下げできます。声にエコーなどのエフェクトをかけたりできます。歌のピッチ修正なども可能です。

 

《ミックスのみを依頼される場合の必要条件》それぞれの楽器に対応したバラバラのデータが必要になります(例、スネアドラム、バスドラム、ベース、ギター、ボーカル...etc)。

《まとめ》曲に対する大幅なイメージ変更を加えることができます。一曲辺り最低でも5時間ほどはかけます。場合によっては修正日を別にさせていただく場合もあります。 

【マスタリング】と呼ばれるもの。

ミックスで完成した楽曲もそれで一応完成ですが、他の曲と並べてみると音量、音質ともにバラバラだったりします。またダイナミクスを重視したミックスの場合、音量的には市販のCDレベルにない場合があります。そのための最終的な磨き作業を行うのがマスタリング作業です。(アルバムの場合は通して聞いても違和感ないように音量音質合わせ。)

 

《マスタリングのみを依頼される場合の必要条件》ミックス終了した2mix(ステレオ音源)が必要です。ミックスの段階で過度に音量を上げすぎて歪んでしまっていると直せません。基本的には最大音量が-1dbに達しないくらいの適度な音量の音源が必要です。

《まとめ》曲中の楽器バランスは大幅には変更できません。他スタジオからの持ち込み曲に関しては一曲あたり1時間くらいの作業です。

もとより一番大事な作業は録音です。録音がしっかりしていないとすべてが台無しになります。その次がミックス作業です。これで曲のイメージが大幅に変更される場合があります。場合によっては素のままでまとめる場合もありますし、大幅に加工する場合もあります。そして最終的な作業がマスタリングになります。マスタリングという単体の仕事は本来存在しませんでした。レコードカッティング屋さんの職人さんが長年の勘をもとに工場で行っていたものです。レコードというのは物理的に盤に溝を入れて音を出す物なので、その時代はどういう風にしたら音を綺麗に、音量をより大きく入れられるのだろうと試行錯誤していました。 それがデジタルのCDの時代になり変化してきました。デジタル情報というのは入れられる最大音量というのが初めから決まっているため、それ以上はどうあがいても大きくは入れられません。ただ、聞いた感じ音量が大きく聞こえるというものがあります。それが最近のマスタリング技術のポイントとなってきます。 では、音量は大きければ大きいほどいいのでしょうか?最近の市販のCDの音量は音圧競争になっており多少過剰感があります。 例えば、ある3m四方くらいの透明なプラスチックの箱の部屋を想像してみてください。

その中に大・中・小、で色が赤・青・緑の風船がバランスよくフワフワ浮いていると想像してみてください。この風船は伸縮自在でいくらでも大きくふくらませることができ、それぞれの風船をどんどん膨らましていきます。ある程度まではバランスよく大きくなりますが、だんだんそれぞれ隙間なしにとなりあい、透明な部屋の壁に当たると突き破る勢いで箱いっぱいいっぱいギチギチの状態になります。これが最近のマスタリングされた音源の状態です。一応3色の風船があるのは認識できますが風船の元の大中小の大きさの差も分からず、形も関係なくどれも大きくなっています。はたしてこれが美しい状態といえるでしょうか?

マスタリング技術においてこれが正解というのはありませんが、現在ではこのギチギチの状態にするのが得意なマスタリングエンジニアもいれば、適度な膨らみ状態でバランスよく大きくみせるのが得意なマスタリングエンジニアもいます。ジャンルや曲調にもよります。ただ残念なことに今現在日本(世界でも)における時代のニーズはギチギチなマスタリングであることは言うまでもありません。一聴した感じではなかなか迫力があって良いのですが、それが長く聞き続けられるものかどうなのか、それはこれからリスナーのニーズが決めて行くものなのでしょう。

 

そして、録音、ミックス、マスタリングについて述べてきましたが、当エンジニアが考える一番大事なことは言うまでもなく「楽曲の良し悪し」です。 レコーディング技術はその楽曲を最大限生かすだけのサポート役でしかありません。

より心に響く楽曲制作に取り組みましょう。

 

eng.H